こんにちは、うりちきです。
2025年がスタートしましたね。21世紀が始まって四半世紀、節目の年に新しいチャレンジはいかがでしょうか。
そこで今回から趣向を広げて、「革靴好きがハマるもの」についてご紹介していこうと思います。
さて、早速ですがオールデンファンの方の多くは、「作り手のこだわりを重視する」「長く付き合えるものを大切にする」といった価値観をお持ちではないでしょうか。
そんなこだわり派にこそぜひ知って欲しいのが、コーヒーの世界です。特に「スペシャルティコーヒー」は奥深く、知れば知るほど深みにハマりますよ。
「聞いたことはあるけど詳しくは知らない」「少し気になるけど難しそう」と思っている方に向けて、今回はスペシャルティコーヒーの魅力と、最近のコーヒー事情についてご紹介します。
1. スペシャルティコーヒーとは?
普通のコーヒーとの違い
まずは「スペシャルティコーヒー」と普通のコーヒーの何が違うのか、簡単にご紹介してみましょう。
スーパーやコンビニで手軽に買えるコーヒー豆の多くは、大量生産するために、複数の豆をブレンドして安定した味になるよう調整された「コモディティコーヒー」と呼ばれるものです。
一方、「スペシャルティコーヒー」は、産地ごとの個性を最大限に生かした、品質重視のコーヒーです。
これは、単に高級であるという意味ではなく、香りや味など複数の項目について、指定された基準を満たした豆だけが名乗ることができます。
例えば、ワインがブドウの産地や品種によって味が変わるように、コーヒーも「どこで・誰が・どのように育てたか」によって香りや風味が大きく異なります。
つまり、スペシャルティコーヒーとは、高い品質だけでなく、「作り手のこだわり」が詰まった一杯ともいえる訳ですね。
スペシャルティコーヒーの基準
では、具体的にどのような基準を満たせば「スペシャルティコーヒー」と呼ばれるのでしょうか。
世界には、「SCA(スペシャルティコーヒー協会)」という組織があり、そこで定められた評価基準をクリアした豆だけが、スペシャルティコーヒーとして認められます。
この評価では、「香り」「酸味」「甘み」「後味」「バランス」などの項目が細かく採点され、合格には100点満点中で80点以上のスコアを獲得する必要があります。
また、スペシャルティコーヒーのもう一つの大きな特徴が、「トレーサビリティ(追跡可能性)」です。
一般的なコーヒーは、複数の豆を混ぜて出荷するため、どこの農園で作られたのか分からないことがほとんどですが、スペシャルティコーヒーは生産地や農園、生産者まで明確に特定できるのが非常に面白いポイントです。
例えば、エチオピア産はフルーティーな酸味がある、グアテマラ産はボディ感のあるコーヒーでエスプレッソとしても楽しめる、といったように、産地ごとに全く異なる味わいがあるのが、スペシャルティコーヒーの醍醐味です。
なぜスペシャルティコーヒーは美味しいのか
明確な基準を持って美味しさが担保されたスペシャルティコーヒーですが、これらが美味しくなる理由は、全ての段階で一貫した体制、工程を経ること、品質管理が徹底していることにあります。
例えば、コーヒーの生豆がいわゆる「コーヒー豆」となるまでには、大きく分けて「収穫」「精製」「焙煎」の3つの工程があります。
まず「収穫」の段階では、機械ではなく手摘みで行われることが多く、目視で完熟した豆だけを収穫します。
コモディティコーヒーでは機械で収穫するため、熟していない豆や欠点豆も混ざりやすくなるのですが、スペシャルティコーヒーの場合は収穫時点でそれらの豆がほとんど弾かれます。
次に、生豆の収穫後は、果実の中からコーヒーに必要な種子だけを取り出す「精製」というプロセスがあります。これにはいくつかの種類があり、それによってコーヒーの味の特色が大きく変わります。
代表的なものを挙げると、下記の3つとなります。
- ナチュラル:最も古くからある伝統的な精製方法。水を使わず天日干しにする。フルーティで甘みが強いコーヒーになりやすい。
- ウォッシュド:大きな水槽の中で生豆を発酵させ、果肉部分を取り除く。苦味や雑味のないクリーンな酸味が得られやすい。
- パルプドナチュラル:ナチュラルとウォッシュドの折衷案で、特殊な機械を用いてより少ない水で種子を取り出す。ほどよい果実みと甘さがバランスよく楽しめる。
そして最後に、コーヒーの話題でよく耳にする「焙煎(ロースト)」の違いです。
精製されたコーヒー豆は煎られることで、よく見る焦茶の豆になるのですが、この加熱具合によって酸味や風味のバランスが決まります。
昔ながらの喫茶店で出てくるコーヒーは、香ばしさを重視した「深煎り」のものが多いのですが、スペシャルティコーヒーは豆の個性を活かすため、「浅煎り」から「中煎り」が主流です。酸味やフルーティな風味が際立つので、一般的な「苦いコーヒー」のイメージとは随分と違った印象となりますよ。
まとめると、スペシャルティコーヒーは「厳選された豆 × 適切な精製 × 最適な焙煎」という、徹底的なこだわりによって生まれます。
2. 最近のコーヒー事情
「サードウェーブコーヒー」とは?
さて、スペシャルティコーヒーについて概要を紹介したところで、続いて昨今のコーヒー事情について触れておきましょう。
ここ数年、「サードウェーブコーヒー」という言葉を耳にしたことがある方もいるかもしれません。
これは世界のコーヒー文化の流れを、3つの時代(ウェーブ)に分けて捉えたものです。
まず、「ファーストウェーブ(第1の波)」は、それまで上流階級の嗜みだったコーヒーが、一般家庭に普及した時代(20世紀前半)を指します。
インスタントコーヒーや缶コーヒーが誕生し、大量生産・低価格化が進むことで、「コーヒーを楽しむ」ということが誰にとっても身近なものになりました。
第二次世界大戦の終結後、コーヒーの需要は一層高まり、日常的に飲むコーヒーの味や品質を重視する流れが強くなってきました。
それが表面化したのが1970年代頃から広まった「セカンドウェーブ(第2の波)」で、スターバックスなどのカフェチェーン店が世界的に広がった時代です。
ただの飲料品としてのコーヒーだけでなく、エスプレッソを使ったカフェラテやカプチーノが一般的になり、いわゆる「カフェ文化」が定着しました。
そして、今まさに主流となっているのが「サードウェーブ(第3の波)」で、現在は「第三次コーヒーブーム」ともいえる時代ということですね。
これは、「コーヒーを嗜好品として楽しむ」という考え方で、より好みに合ったコーヒーを楽しむために、豆の産地や精製方法、焙煎具合までこだわり、作り手の個性を重視する文化が広まっています。
もちろん人によって嗜好は異なるのですが、サードウェーブらしい特徴としては、
- 豆の個性を活かすために「浅煎り」が主流
- シングルオリジン(単一産地の豆)が人気
- 一杯ずつ丁寧に淹れるハンドドリップが好まれる
といったポイントが挙げられます。
つまり、サードウェーブはクラフトマンシップを重視する流れ、ともいえそうです。
靴で例えるならば、大量生産のスニーカーではなく、職人が作るグッドイヤーウェルテッド製法の革靴を楽しむ感覚に近いですね。
フェアトレードとサステナビリティ
また、最近のコーヒー業界では、「フェアトレード」や「サステナビリティ」といったキーワードが重要視されます。
スペシャルティコーヒーの多くは、単に「美味しい」だけでなく、環境や生産者に配慮した倫理的なコーヒーである、ということも非常に重視されます。
例えば、
「適正な価格で取引を行い、生産者の生活向上を支援すること(=フェアトレード)」や、
「化学肥料や農薬を使わず、自然環境に優しい栽培方法であること(=オーガニックコーヒー)」、
「豆を自然の木陰で育てることで、生態系を守りながら栽培すること(=シェードグロウン)」といったものです。
こうした取り組みが広がることで、コーヒーは単なる嗜好品としてだけではなく、「持続可能な農業」や「地域貢献」の一環としても注目されるようになっています。
この流れは、革靴の世界でも似ていますね。
例えば、近年では「エシカルレザー」や、「サステナブルなものづくり」を掲げるブランドが増えています。
「良いものを大切に使い続ける」という価値観も、コーヒーと革靴の世界で共通するポイントかもしれません。
スペシャルティコーヒーを楽しむ
日本でもスペシャルティコーヒーの人気は年々高まっており、専門店やロースター(焙煎所)が続々と増えています。
例えば、米国発のサードウェーブ代表格である「Blue Bottle Coffee(ブルーボトルコーヒー)」や、京都発の人気店「% Arabica(アラビカ)」、東京中目黒のロースター「ONIBUS COFFEE(オニバスコーヒー)」などですね。
このような店では、バリスタがハンドドリップで一杯ずつ丁寧に淹れたコーヒーを頂くことができます。
豆の種類も豊富で、「エチオピアのフローラルな酸味」や「グアテマラのチョコレートのような甘み」など、産地ごとの違いを楽しむこともできますよ。
また、最近では「家で楽しむコーヒー」にも注目が集まっています。
ミルで豆を挽いてハンドドリップで朝のコーヒータイムを楽しんだり、アウトドアの場面でも「エアロプレス」といった道具を使えば屋外で手淹れのコーヒーが楽しめます。
インスタントコーヒーであれば1分足らずですが、あえて自分で豆を挽き、お気に入りの器具でゆっくりとコーヒーを淹れる。そんな時間が、日常を豊かにしてくれそうです。
3. こだわり派におすすめのスペシャルティコーヒー
スペシャルティコーヒーの魅力が分かってきたところで、「実際にどんなコーヒーを選べばいいの?」と思う方もいるかもしれません。
そこで最後に、初心者でも試しやすい、おすすめのスペシャルティコーヒーの産地と特徴を、3つご紹介します。
※写真はイルガチェフェのコーヒー協同組合のサイトから
エチオピア(イルガチェフェ)
アフリカのエチオピアはコーヒー発祥の地ともいわれ、現在でも世界で5番目に生産量の多い国です。
特にイルガチェフェ地方のコーヒーは、フルーティで華やかな香りが特徴です。
- 味わい:紅茶のような軽やかさ、柑橘系の爽やかな酸味
- おすすめの焙煎:浅煎り
「コーヒーは苦いもの」というイメージのある方は、まずはこのフルーティな酸味が新鮮に感じるでしょう。
スペシャルティコーヒーの世界に足を踏み入れる第一歩としてもおすすめです。
コロンビア(ウィラ)
南米のコロンビアは安定した品質のコーヒーが多く、日本でも特に人気の高い産地です。
クセが少ない豆が多いのですが、特にウィラ地方のコーヒーは、酸味と甘みのバランスがよく、非常に飲みやすいことが特徴です。
- 味わい:ナッツのようなコク、チョコレートのような甘み
- おすすめの焙煎:中煎り
毎日飲んでも飽きのこない、安定感のある味わいは、「酸味やクセが強すぎるのは苦手だけど、スペシャルティコーヒーを試してみたい」という方にもぴったりです。
グアテマラ(アンティグア)
中米グアテマラのコーヒーは、しっかりとしたコクがありつつ、程よい甘みが楽しめるのが魅力です。
特にアンティグア地方のコーヒーは、火山に囲まれた土壌で育つため、独特の深みがあります。
- 味わい:チョコレートのような上品なコク、ほのかな柑橘系の酸味
- おすすめの焙煎:中深煎り(シティロースト)
コクのある味わいが好きな方や、ミルクを入れて楽しみたい方にもおすすめです。
ボディ感のあるコーヒーなので、エスプレッソで楽しむのも良いですね。
まとめ
今回は、「スペシャルティコーヒー」の概要や魅力と、昨今のコーヒー事情についてご紹介しました。
革靴やオールデンのように、「こだわりを持って選ぶからこそ楽しめる世界」が、コーヒーの分野にも広がっています。
スペシャルティコーヒーの奥深さを知るためには、まずは実際に一杯飲んでみるのが一番です。
ぜひお近くの専門店に足を運んで、バリスタの淹れる一杯を頂いてみてください。
自宅で楽しむ場合は、シングルオリジンの豆を専門店で購入し、まずはハンドドリップで淹れてみるのがおすすめです。
お店で豆を挽いてもらうこともできるので、ペーパーフィルターとドリッパーさえ用意すれば、意外と手軽に始めることができますよ。
淹れたての香りを楽しみながら、ゆっくりとコーヒーを味わう時間は、革靴の手入れをするひとときにも通じるものがあります。
オールデンとこだわりの服を纏って出かける、その前にお気に入りのコーヒーを楽しむ、そんな豊かな時間に足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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