今回は革靴の修理メニューとしても一般的な「ハーフラバー」のメリット・デメリットについてまとめてみました。
愛用のオールデンにハーフラバーをつけるか悩んでいる方はどうぞ参考にしてみてくださいね。
ハーフラバーとは
最初に、ハーフラバーとは『ラバー素材のハーフソール』のことです。
ハーフソールとは靴底の前半分に貼り付けるパーツで、ソールを摩耗から保護するなどの効果があります。
リペアショップでの利用者も多い一般的な修理メニューで、これまでにご紹介したお店のほとんどでお願いすることができますよ。
ハーフラバーの修理価格は、お店や使用するパーツによりますが大体3,500円~となります。
オールデンにハーフラバーをつけるべき?
それでは本題です。オールデンにはハーフラバーをつけるべきでしょうか?
既にお気づきかと思いますが、答えは『使用者や目的による』です。
もう少し踏み込んでみると、
・出来るだけ靴を長く履きたい方はつけると良し
・靴本来のデザインや履き心地を楽しみたい方はつけない方が良し
という結論になりそうですね。
その判断材料となるハーフラバーのメリット・デメリットを下記にまとめます。
ハーフラバーをつけるメリット
ソールの保護
ハーフラバー修理に出す方の多くが、前述した『ソールの保護』を目的としています。
オールデンをはじめとした高級紳士革靴の靴底はレザーソールが多いのですが、レザーソールはラバーソールよりも削れやすく耐摩耗性に劣ります。
そのためソールの保護のためにハーフラバーソールをあらかじめ貼っておくというわけですね。
ハーフラバーで保護することでレザーソールの摩耗が抑えられるので、靴のメンテナンスの頻度を下げることができます。
特に、摩耗したソールを交換する『オールソール』は靴にかなりの負担をかけるので、ハーフラバーで修理頻度を下げることで、靴自体の寿命も長持ちさせることができるでしょう。
(tips)レザーソールの寿命と長持ちさせる方法
レザーソールの寿命は、履き方や頻度にもよりますが、週に2回程度の使用で1~3年といわれています。
なるべく寿命を延ばすためには、地面との摩擦によるダメージを極力減らすことが肝要なので、『乾燥を防ぐ』『毛羽立ちを抑える』といったメンテナンスが効果的でしょう。
(tips)レザーソールのすり減りやすい箇所と歩き方の癖
また正常に歩行ができている場合、一般にソールは【ヒール外側とつま先内側】からすり減ることが多いです。
これは人の歩行動作が『かかとの少し外側から着地し、小指付け根、親指付け根、親指側つま先へと重心が移動していく』ためです。
ところが姿勢や重心の偏り、歩き方の癖によって、ソールの摩耗しやすい箇所は大きく変わります。
特に、靴が足より大きいなどの理由で、『足の裏全体で着地』『膝や股関節を捻りながら歩く』『膝が外向きに開いている』のような歩き方をしている場合、ソールは【足指の付け根付近】から摩耗します。
そのような方は特に、ハーフラバーソールを利用するメリットが大きいといえるでしょう。
滑り止め効果
ハーフラバーをつける目的として『靴の滑り止め効果』を期待する方も多くいます。
確かにレザーソールはラバーソールよりも滑りやすく、濡れた道などではしばしば転びそうになりますね。
これは一見して合理的に見えますが、実はハーフラバーのメリットとして最優先にすべきではないかもしれません。
なぜならば前述したように、人の歩行動作は一般に『かかとからつま先』へと重心が移動します。
そのため転ぶ時には通常、足を地面につけた瞬間=かかと側で滑って転んでいることが多いはずです。
勿論つま先側をラバーソールにすることで靴全体のグリップ力は上がりますが、転倒防止を最大の目的にするのであれば、『ハーフラバーよりもラバーのヒール』を先に検討した方が良さそうですね。
ハーフラバーをつけるデメリット
履き心地に影響を与える
ここからは一転して、ハーフラバーをつけることのデメリットにも触れておきましょう。
恐らく最も大きなデメリットが、多少なりとも靴自体の履き心地に影響してくる、という点です。
オールデンをはじめとした高級紳士革靴の多くは「グッドイヤー・ウェルテッド製法」で作られていますが、その利点の1つとして履き心地の良さがあります。
本製法では中底とアウトソールとの間に空間ができるため、オールデンの場合はそこにたっぷりのコルクが詰められ、これが程よい反りや足への馴染みといった履き心地の良さへ繋がるわけですね。
そのようなソールに接着剤を使ってラバー素材のパーツを貼り付けるので、反り感やクッション感といった履き心地が多少損なわれることは避けられないでしょう。
見た目に影響を与える
また、レザーソールの上からハーフラバーを貼り付けるので、当然ですが見た目も変わりますね。
この辺りは趣味の領域なので、必ずしも見た目が悪くなる!と断言はしません。
しかしハーフラバーを利用しない方の中には、この見た目の変化を忌避して、という方も少なくないようです。
ただオールデンには『ハーフコマンドソール』があるので、この見た目に意外と抵抗のない方も多いのではないでしょうか。
足音に影響を与える
実は見た目以上に気になるという方も多いのが、歩くときの『音』です。
レザーソール特有のコツコツとした小気味良い音、これが好きでレザーソールを選ぶ方も少なくありません。
そのような方にとっては、貼ることで足音が変わるハーフラバーのデメリットは非常に大きいといえるでしょう。
オールデンに合わせやすいハーフラバー
ここまでハーフラバーのメリット・デメリットを解説しましたがいかがだったでしょうか。
これを読んで「ハーフラバー、貼ってみようかな」と思われた方のために、オールデンに合わせやすいハーフラバーについてご紹介しておきましょう。
オールソールやヒールと違って、オールデン純正のハーフラバーはなかなか見当たらず、どんなものを貼れば良いか悩んでしまいますね。
また一口にオールデンと言っても、モデルによってソールの形状もカラーも異なります。
そのため、一番良いのは『信頼できるリペアショップで相談してみる』ことでしょう。
これまでにご紹介したリペアショップは、どこもオールデンの修理実績がしっかりとあるお店なので、宜しければ参考にしてみてください。
1つおすすめをあげるとすれば、おなじみの『ビブラムソール』はいかがでしょうか。
品質が安定しているのでハズレがなく、カラーも豊富です。
ヒールも合わせて貼る方は、同じデザインのハーフラバーを選べば見た目も良いですね。
(おまけ)レザー素材のハーフソールについて
最後に、レザー素材のハーフソールについて軽く触れておきましょう。
ハーフソールにはラバー以外にも『レザー素材』のものがありますが、
「ソール保護のためにハーフソールを貼りたいが、ラバーの見た目が絶対に嫌だ」
という方以外にはあまりおすすめしません。
というのも、ハーフラバーをソール保護として貼る理由が『ラバーはレザーより耐摩耗性に優れる』だったので、レザーのハーフソールだとレザーソール同様削れやすいことには変わりないですね。
勿論、靴本体のレザーが地面に触れないので一定効果はありますが、ハーフラバーよりも『レザーソールの保護』という点では劣ります。
またレザーということで、レザーソールの通気性を損なわないのでは?とも思いますが、どっちみちハーフソールを貼る際に接着剤を使用するので、あまり期待してはいけなさそうです。
ハーフラバーの強みである『グリップ性』もないので、余程ラバーを貼りたくない方以外はあまり選ぶメリットは多くなさそうですね。
まとめ
今回は『オールデンにハーフラバーは貼るべき?』という疑問を検討するため、ハーフラバーのメリット・デメリットをまとめました。
結論は冒頭で述べたように
・レザーソールの摩耗を抑えられるので、出来るだけ靴を長く履きたい方はつけると良し
・ラバーを上から貼り付けることになるので、靴本来のデザインや履き心地を楽しみたい方はつけない方が良し
となります。
また、
・滑り止め効果を期待する場合は、ヒールのトップリフト交換も合わせて検討すべし
・レザーソール特有の靴音が好きな方は、ハーフラバーを貼ると音が損なわれるので注意
という点にも着目してください。
ハーフラバーには一長一短がありますが、上手に利用することでオールソール頻度を抑え、愛用のオールデンを長く楽しむことが出来ます。
是非この機会に一度検討してみてくださいね。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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