
機械式腕時計の中でも人気の「クロノグラフ」にはどんな特徴があるのでしょう
こんにちは。機械式腕時計のスペシャリストGoroです。
前回も機械式腕時計の初心者に向けた記事を書いていますので併せてご覧ください。
アメリカン・トラッドの王道を行くオールデンと腕時計のコーディネートを考えた時、フォーマルなドレスウォッチより存在感タップリなスポーツ・ウォッチがおすすめです。その中でも「クロノグラフ」には目を引く重厚感がありオールデンとは最強の組合せに感じます。今日はオールデンに負けないくらい魅力的な機械式時計、「クロノグラフ」を紹介します。
美しいフォルムを持つクロノグラフ
クロノグラフとはラテン語の「クロノ(時)」と「グラフ(計測)」を組み合わせた言葉で、通常の時計機能に加え「ストップウォッチ機能」を併せ持つ腕時計です。操作のための大きなプッシュボタンが付加されるため、無骨かつメカニカルな印象に仕上がります。
通常の時計が3本の針で構成されるのに対して、「クロノグラフ」はさらに最低でも3つ以上の針とメーターが加わり、それらで構成される美しいフォルムが、メンズの琴線に触れるのです。
クロノグラフはデジタル表示の物と、アナログ(針)表示に分かれ、前者はクォーツムーブメントですが、後者は圧倒的に機械式ムーブメントで作られていることが多いです。この理由はクロノグラフが複雑な機械構造で、歯車を動かすのに強いトルクが必要だからです。
クォーツ・ムーブメントは機械式ムーブメントよりトルクが弱く、そのためほとんどのクロノグラフは機械式ムーブメントを採用しています。一部ブランドでは創意工夫してクォーツでのクロノグラフをリリースしていますが、やはりクロノグラフは機械式時計が人気の中心です。
ここ数年、腕時計はデカ厚時計が人気でした。そのため美しいフォルムを持つクロノグラフも同様に人気で、その流れは現在も続いています。
詳しく知ると楽しい、クロノグラフの機能
クロノグラフの機能は単純な時間測定だけではありません。代表的な機能として「速度測定」、「距離測定」、「心拍測定」があり、これらの計測機能の有無はベゼル部分にある目盛りの種類に依存します。
見分け方は1時の位置に書いている文字によって
タキメーター(Tachymeter)=速度、
テレメーター(Telemeter)=距離、
パルスメーター(Pulsemeter)=心拍数、
といった表記で見分けます。では具体的な使用法を以下で紹介しましょう。
タキメーター(Tachymeter)の使い方
速度を求めることができるメーターです。
タキメーターはクロノグラフの中で最もオーソドックスなメーターです。ほとんど全てのクロノグラフにこのメーターは刻まれています。このタキメーターはかつて使われた計算尺をベゼル周りに配したものです。
使い方はスタートボタン(2時の位置)を押し、1㎞を走行した時点で止めて、秒針が指している数値が速度(時速)です。ほとんどのモデルでこのタキメーターを採用しており、最もポピュラーなクロノグラフのメーター機能ですね。
テレメーター(Telemeter)の使い方
距離を求めることができるメーターです。
これはクロノグラフの機能としては「絶滅危惧種」です。しかし昨今のヘリテージブームで、採用するブランドもあります。第二次世界大戦前後までは、計測機器で電子化されたモノは皆無でした。光と音の速度差を利用した計測方法が戦闘の最前線で用いられていたのです。大砲の閃光が輝いた瞬間にスタートボタンを押し、音が聞こえた瞬間にストップする事で発射地点までの距離がわかる機能です。
現代でこの機能を使うとしたら、雷が光った瞬間にスタートを押し、音が聞こえた瞬間にストップボタンを押せば雷の発生地点までの距離がわかります。
パルスメーター(Pulsemeter)の使い方
心拍数を求めることができるメーターです。
これもクロノグラフでは絶滅危惧種です。これは時計がまだ高価な時代、ドクターウォッチとして使われていた頃の名残です。30回の脈を打った時点と止めることで1分間あたりの脈拍数がわかるものになります。

ロレックス社のコスモグラフデイトナ。この他にも多くのモデルが存在します
※写真はロレックス社のサイトより
クロノグラフの代表モデルは?
クロノグラフを代表するモデルはやはりロレックス社の通称デイトナでしょう。正式名称は「コスモグラフ・デイトナ」です。デイトナはフロリダ州デイトナビーチで行われる、24時間耐久レースへ敬意を評して名付けられたモデルです。
1962年から同地で開催されているこの大会は創設時からロレックス社がスポンサーをつとめている印象があります。しかし、ロレックスがスポンサーシップを務めたのは第30回の1992年からです。
その他、クロノグラフではオメガの「スピードマスター」やブライトリング「ナビタイマー」が有名です。前回紹介した記事のダイバーズウォッチ同様にオールデンと相性の良いモデルが他社からも発売されています。

「スピードマスター」オメガ社も多くのクロノグラフを展開している
※写真はオメガ社のサイトより
まとめ
クロノグラフは各社の哲学が顕著に出るモデルです。そのため機械式ムーブメントも数種類あり、各メーカーは頑なに自社の方式の更なる改善や研究に勤しんでいます。
ただ部品数が多い構造は変わりなく、他の機械式時計と比較すると故障が多いことは知っておいてください。取扱説明書のルール(特にプッシュボタンに関わる操作禁止事項)に従うことが大切です。
次回は機械式腕時計の中で「ラグスポ(ラグジュアリースポーツ)」と呼ばれるジャンルを紹介します。お楽しみに!
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