こんにちは、うりちきです。
以前「各国の革靴の歴史と特徴」についてまとめましたが、今回は改めて、オールデンの歴史とその魅力に焦点を当ててみたいと思います。
以前アップロードしたの関連記事も参考にしてください。
オールデンの歴史
オールデンシューカンパニーは1884年に、マサチューセッツ州ミドルボロウ(ミドルバラ)にて、チャールズ・H・オールデンによって設立されました。
ミドルボロウはクランベリーの生産が盛んな湿潤な土地であり、1840年代以来マサチューセッツ州南東部の主要な鉄道輸送拠点でもありました。この土地の特性が、オールデンブランドの背景にあるのかもしれません。
当ブログの管理人 A Shine And Geek もマサチューセッツ州に住んでおります。
設立当初の製品はカスタムメイドブーツや受注生産による紳士靴が中心でしたが、1892年には工場が同州のノース・アビントンに移され、さらに1931年にはブロックトンへ移転。この年に創業者のオールデン氏が退職し、経営は現在も続くターロウ家に引き継がれました。1970年には、近代的な設備を備えた工場がミドルボロウに建設され、現在もこの地から世界中にオールデンの靴が送り出されています。
マサチューセッツ州は産業革命の初期から工業が発展しており、特に紡績工場が多く存在しました。しかし、1920年から1950年にかけて世界大恐慌などの要因も絡み、州の産業は崩壊の危機ともされました。
多くの製靴メーカーが経済性を求めて海外に拠点を移しましたが、それでもオールデンはこの地に工場を構え続け、そこにオールデンの理念や魂のようなものが感じられます。
また、1950年頃からは医療用シューズ会社を買収し、オーソペディックシューズ(医療用矯正靴)の分野も開拓しました。オールデンの代名詞とも言えるモディファイドラストを用いた靴は、この時期に生まれました。
モディファイドラストについては過去の記事も参考にしてください。
「靴に足を合わせる」イタリア的な考えとは異なり、アメリカの靴作りは合理性を重視し、特にオールデンは「靴は歩くためのギア」という哲学を持っています。履き心地の追求を続けてきたオールデンのアイデンティティがここに現れているといえるでしょう。
さて、オールデンの歴史について学び直したところで、ブランドの特色や逸話についていくつかご紹介してみたいと思います。
最高品質のコードバン
オールデンを語る上で絶対に欠かせないのが「コードバン」です。
ご存知の方も多いと思いますが、コードバンとは馬の臀部の皮をなめしたもので、牛革に比べて非常に希少で、製造工程にも多くの時間を要します。
オールデンのシェルコードバンは、アメリカ・イリノイ州シカゴにある老舗タンナー「ホーウィン社」で製造される最高級品で、その艶やかな光沢と素材の美しさは、他に類を見ない唯一無二のものです。
ホーウィン社とシェルコードバンの詳細については、過去の記事も参考にしてください。
豊富なラスト
オールデンには、前述のモディファイドラストを含め、日本限定モデルを含む全13種類のラスト(木型)があります。上記チャートにはトムラストとミリタリーラスト -379X- が含まれません。
ぽってりとした丸みのあるものから、エレガントで細身のものまで多様で、モデルごとに大きく異なる表情を見せてくれます。
デザイン性だけでなく、履き心地やサイズ感にも大きな影響を与えるため、自分の足にぴったり合う一足を見つける楽しみがありますね。
オールデンの主要なラストの特徴や履き心地については、過去記事も参照してください。
こだわりのアイアンシャンク
少し細かいところでいうと、オールデンの靴は「アイアンシャンク」を使用していることでも有名です。
シャンクは靴のインソールに埋め込まれ、靴の変形防止やソールのねじれ防止といった、靴の背骨のような役割を果たします。
また、土踏まずのアーチを支え、歩行を助ける機能もあります。このシャンクに鋼鉄製のものが使われているというのは、使用者の足や歩き心地を重視するオールデンらしい選択といえるでしょう。
ちなみに、オールデンの靴は空港のセキュリティチェックで引っかかることが多いというエピソードも、ファンの間ではよく知られています。
タッセルモカシンについて
スーツにもカジュアルにも合わせやすく、世界中の革靴好きから愛されている「タッセルモカシン」は、オールデンが生み出したスタイルです。
ハリウッド俳優のポール・ルーカスが、イギリスで見つけたタッセル付きの革靴をアメリカに持ち帰り、オールデンにシンプルなデザインでの再現を依頼したことから、1948年に現在のスタイルが誕生しました。
タッセルモカシンの誕生秘話については、過去の記事も参考にしてください。
ブーツも魅力
オールデンはビジネスシューズだけでなく、ブーツの分野でも多くの人気モデルを持っています。特に「インディーブーツ」や「タンカーブーツ」は、オールデンの代表作として有名です。
インディーブーツは映画『インディ・ジョーンズ』に登場するジョーンズ博士が履いているブーツで、主演のハリソン・フォードが特注したという逸話があります。
一方、ゴツゴツとした無骨なデザインが魅力の「タンカーブーツ」は、日本の正規取扱店であるラコタハウスが90年代にオールデンにリクエストして制作されたものです。
それぞれのブーツの誕生秘話や魅力については、過去の記事で詳しく解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください。
インディーブーツについて
オールデン インディーブーツ405 誕生秘話!コードバンモデルも解説
タンカーブーツについて
オールデンのコードバンタンカーブーツ誕生秘話 3つの特徴と3つの魅力
まとめ
今回は、オールデンの歴史や特徴、そしてその魅力について改めて振り返ってみました。
オールデンは、1884年の創業以来、一貫して高品質な靴作りを続け、アメリカの伝統を守り抜いてきたブランドです。
コードバンや多様なラスト、アイアンシャンクの採用、そしてタッセルモカシンやインディーブーツといった名作を生み出す過程には、オールデンならではのこだわりと情熱が詰まっています。これらの逸話を紐解いてみることで、オールデンの靴に対する愛着がさらに深まるのではないでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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