こんにちは、うりちきです。
朝晩に少し涼しさを感じるようになり、温かいコーヒーが恋しい季節になってきました。
一方で今年の9月は雨の日も多く、湿気が気になる日が続いています。
そこで今回は、コーヒー豆の保存方法について改めて取り上げてみたいと思います。
お気に入りの豆を買って週末に袋を開けたものの、最初の一杯と飲み切るころの一杯では、香りが違うような気がする。そんな経験がある方も多いのではないでしょうか。
コーヒー豆の保存というと、専用の缶やキャニスターを用意したり、冷蔵庫・冷凍庫へ入れたりと色々な方法があります。
しかし家庭で普段飲む分なら、必ずしも特別な道具が必要ではないかもしれません。
今回は、まずコーヒー豆の風味がなぜ変化するのかを知った上で、手元にある一袋を最後までなるべく良い状態で飲み切る方法を考えてみましょう。

コーヒー豆が古くなると、何が変わる?
いつもと同じ豆、同じ分量で淹れているのに、以前ほど香りが立たない。
そんなときは挽き目やお湯の温度だけでなく、豆を買ってからどのくらい経ったかも確認してみてください。
焙煎されたコーヒー豆からは、時間とともに揮発性の香り成分が抜けていきます。
また空気中の酸素や湿気、熱にさらされることでも風味が変わるため、保存するときはこうした影響をできるだけ避けることが基本となります。
とはいえ、「焙煎後○日までならおいしい」と一律に決められるものでもありません。
焙煎の仕方や包装、保存環境によっても風味の変化は異なりますし、焙煎直後は豆から多くのガスが出るため、少し時間を置いた方が淹れやすくなる場合もあります。
家庭でまず避けたいのは、開封した袋をきちんと閉めずに置いておくことや、コンロのそばなど熱のこもる場所に置くことです。
難しい鮮度管理を始めるよりも、まず空気・湿気・熱の影響を受けにくい状態にするのが、一番分かりやすい保存の基本でしょう。
また、豆のまま保存するか、粉にして保存するかでも違いがあります。
粉にすると空気に触れる面積が増えるため、豆のときよりも香りは抜けやすくなります。
そのため、ミルをお持ちなら、豆のまま購入して飲む直前に使う分だけ挽くのがおすすめです。
挽きたてならではの香りを楽しめるのも、ハンドドリップの魅力の一つですね。
▷ コーヒーミルなど、ハンドドリップの道具については過去記事でも紹介しています。
購入時の袋は、そのまま使える?
コーヒー豆を買うと、厚みのある袋にチャックと小さな丸い弁が付いていることがあります。
この弁は「ワンウェイバルブ」などと呼ばれるもので、焙煎後の豆から出るガスを外へ逃がすためのものです。

コーヒー豆は焙煎の過程で内部に二酸化炭素を抱え込み、そのガスは焙煎を終えた後もしばらく放出され続けます。
焙煎したての豆を密閉した袋へ入れると、袋が膨らんでしまうこともあるのですが、この小さなバルブはガスを逃しつつ、外から空気が入り込むのを抑える役割を果たしています。
こうしたバルブやチャックが付いた袋なら、普段使いではわざわざ別の保存容器へ移し替えなくても構いません。
豆を取り出したら袋の中の余分な空気を軽く押し出し、口をきちんと閉めて涼しい戸棚へしまいましょう。
一方、チャックのない袋の場合は、口を何度か折り返してクリップなどで留める方法もあります。
ただし袋が薄かったり、きちんと口を閉じられなかったりする場合には、密閉できる容器へ移した方が扱いやすいでしょう。
保存容器を使う場合、デザインや容量で選ぶのも楽しいですが、いくつかチェックしておきたい点があります。
例えば透明なガラス瓶は豆の色や残量が見えて綺麗ですが、窓辺に置くと光や熱の影響を受けやすくなります。
使うなら戸棚の中など、直射日光の当たらない場所に置く方が安心ですね。
また、200グラムの豆を保存するために大きな容器を用意しても、空いた部分にはその分だけ空気が残ります。
たくさん入るものよりも、普段買う量に合った大きさを選んだ方が使いやすいでしょう。
最後に置き場所ですが、台所でもコンロのすぐ横や、日中に日差しが入る場所は温度が上がりやすくなります。
よって、毎朝取り出しやすく、なおかつ熱のこもりにくい戸棚などを豆の定位置にすると良いですね。

ワンウェイバルブの拡大。一穴のもの、複数穴が空いたもの、プラスティックが見えるものなど、いくつかの形状が存在する
粉で買うなら、飲む回数から量を決める
ミルを持っていない場合は、購入時にお店で豆を挽いてもらえます。
しかし前述したように、粉は豆のままよりも香りが変わりやすいため、この場合は保存容器選びの前に、まずどのくらいの量を買うかを考えてみましょう。
コーヒー一杯に使用する豆の量は、だいたい10から20グラムです。
例えば週末に一、二杯だけ淹れるのであれば、200グラムの粉を飲み切るまでにはかなり時間がかかります。
100グラムなど少量から購入できるお店なら、そちらを選ぶ方が最後まで美味しく飲みやすくなります。
コーヒーミルは自宅で挽きたての香りを楽しめる道具ですが、コーヒーを楽しむのに必須アイテムではありません。
その都度お店で挽いてもらい、無理なく飲み切れる量を買う。最初からたくさん道具を増やすよりも、こちらの方が自分の生活に合っている場合もあるでしょう。
冷蔵庫と冷凍庫はどう使う?
湿気が気になる季節になると、コーヒー豆も他の食品と同じように「とりあえず冷蔵庫へ入れた方が良いのでは」と考えたくなります。
ただ、毎日飲む豆については、冷蔵庫が必ずしも使いやすい保存場所とは限らないかもしれません。
問題となるのが、豆を冷蔵庫から出した時の温度差です。
冷えた袋を室温の高い部屋で開けると、冷たい豆の表面に水分が付着することがあります。コーヒー豆は湿気の影響も受けるため、毎朝冷蔵庫から取り出して袋を開け、また戻すという使い方では、温度差による劣化が起こりやすくなります。
もし普段飲む量を数週間ほどで無理なく使い切れるなら、冷蔵庫へ入れるよりも、口をしっかり閉じて涼しく乾いた戸棚に置く方がシンプルで扱いやすいでしょう。
一方、しばらく開ける予定のない豆なら、冷凍庫を使う方法があります。
低温ではコーヒー豆の風味劣化や、ガスの抜ける速度が遅くなるためです。
例えば、お気に入りのロースターへ行き、気になる豆が二種類あったので両方買った。一袋目を飲み切るまで二袋目は開けない、というような場合には使いやすい手法でしょう。
その場合、購入時の袋がしっかり密封されていればそのまま冷凍し、密封が心もとない場合には、さらに冷凍用の袋などへ入れておきます。
少しずつ取り出して使いたい場合は、冷凍する前に一回分ずつ小分けにしておく方法もあります。
反対に、大袋を毎朝開けて必要な分だけ取り出し、再び冷凍庫へ戻すのであれば、温度差や湿気の管理には少し気をつかった方が良いでしょう。
冷凍した一袋をまとめて使い始める場合は、封を開けないまま室温へ戻してから開封するという方法もあります。
袋を閉じたまま温度を戻すことで、冷たい豆が室内の湿った空気で結露するのを避けられるので、温度差による影響を受けにくくなります。
冷凍保存は便利ですが、普段買う量を普通に飲み切れるのであれば、無理に取り入れなければならない方法ではないでしょう。
買い過ぎた時や、二袋目をしばらく開けない時、豆が増えたときの選択肢の一つ、と考えておくぐらいがちょうど良さそうですね。
保存容器より先に、買う量を見直す
ここまで袋や保存容器、冷蔵庫などについて見てきましたが、家庭での保存を考えるなら、「一度に買う量」がポイントになります。
例えば一杯に豆を15グラム使うとすると、200グラムの袋ならおよそ13杯分です。
毎日一杯飲めば二週間弱ですが、週末だけなら飲み切るまでにかなり時間がかかります。
同じ200グラムでも、その人の飲み方によって必要な保存期間は違う、というのが重要な点ですね。
ロースターへ行くと、気になる産地や焙煎度の豆がいくつも並んでいて、つい二袋、三袋と試したくなります。
コーヒー好きとしては悩ましいところですが、「保存」という観点に限れば、一袋を飲み切ってから次を開ける方が簡単であることは確かです。
それでも色々飲み比べたいときは少量の袋を選んでみる。毎朝決まった豆を飲むなら、少し大きめの袋を買う。
自分の飲むペースに合わせることで、保存方法を必要以上に複雑にしなくても済みそうです。
いつも最後の方になると香りが弱くなったように感じるなら、新しい保存容器を買う前に、次は一回り小さな袋を選んでみるのも一つの手です。
また複数の豆を並行して飲む場合は、開封した日を袋の端に書いておくのも便利です。大げさな管理表でなくても、「こちらを先に飲もう」と分かるだけで十分役立ちますよ。
コーヒー豆の保存というと、つい密閉性の高いおしゃれな容器や新しい道具に目が向きがちです。
しかし家庭では、良い保存容器を探すこと以上に、「自分が何日でこの袋を飲み切るのか」を知っておく方が実用的かもしれませんね。
A Shine And Geekから一言
私が個人的に、コーヒーが最も美味しいと感じる「至高の期間」は、焙煎から5日後に開封し、そこから2週間ほどの間です。ここで一つ、皆さんに「買った豆は、必ずしも全て飲み切る必要はない」というマインドチェンジを提案させてください。「もったいない」と叱られてしまうかもしれませんが、これこそが美味しさを妥協しないこだわりであり、大人の小さな贅沢だと思うのです。
これまでのお気に入りの豆や淹れ方に加え、「焙煎後の時間」という新たな変数が加わりました。うりちきさんが近い将来記事にしてくれるかもしれませんよ。
まとめ
今回は、コーヒー豆を最後まで楽しむための保存方法についてご紹介しました。
基本となるのは、袋の口をきちんと閉め、直射日光や熱、湿気の影響を受けにくい場所へ置くことです。購入時の袋がしっかり閉まるなら、そのまま使っても構いません。
ミルがあれば豆のまま保存して飲む直前に挽く。
すぐに使わない豆があれば冷凍を利用する。
そして何より、自分の飲むペースを知り、それに合った量を買うことが重要です。
コーヒー豆の保存方法そのものは、意外とシンプルです。
次に豆を買うときは、産地や焙煎度と併せて、家に帰ってからどう飲み進めるかまで少し考えてみてくださいね。
ここまでお読みいただきありがとうございました。