オールデンのコードバンが大好き by A shine and geek では、新たにモデル検索機能をリリースしました。オールデンの靴を調べる際にご活用ください。
こんにちは!イギリス大好きanzuです♪
前回は「バブアー BARBOUR」のジャケットをご紹介しましたが、今回もちょっと季節を先取りして、男の憧れアイテム「ライダースジャケット」をご紹介します。100年以上の歴史を持ち、英国を代表するレザーウェアブランドである「ルイスレザー(Lewis Leathers)」はオールデンの靴とも相性がぴったりです。ともにメッセージ性の強い、そして歴史の長い、尖ったブランドであるのですが、この二つの一流は共存することができるのです!
(当ブログの管理人であるA shine and geek氏も着用しているし、後述する「ルイスレザー・ジャパン」の代表を務める後藤氏もオールデンを所有している!とA shine and geek氏が言ってた!)
この記事では
1、ルイスレザーの歴史
2、ファッションアイテムへの昇華
3、川久保玲氏とルイスレザーの関係
4、ルイスレザーの魅力とディテール
5、オールデンとルイスレザーのコーデ
の順に紹介していきます。
ルイスレザーの歴史
1982年、ロンドン・グレート・ポートランド・ストリートに洋服の仕立てや防護服の作成をメインとした会社として「D. Lewis Ltd, (D ルイス・リミテッド)」という名で創立。
1926年、モーターサイクルレース専用の革ジャンの制作に着手。
保温性に優れたレザーウェアは瞬く間に評判となり、第二次世界大戦では、イギリス空軍「RAF」に依頼され、フライトジャケットやパイロットスーツも制作していました。
1930年代、イギリスではオートバイ産業が盛んに。
革の持つ機能性と転倒時の摩擦に強い耐久性を持つルイスレザーのジャケットがライダー達に注目され始めます。
1940年代にはオーダーメイドでの制作もスタート。
紳士服ブランドとしてスタートしたルイスレザーのデザインはスタイリッシュでモード。さらにイギリス軍のパイロットジャケットを手がけたほどの機能性。人気が出ないわけがありません。
1950年代に入ると、多くのプロライダー達がルイスレザーのジャケットを着用していたそうです。さらにレース界のワールドチャンピオンがこぞってルイスレザーを着用したことで、知名度と人気が爆発的に急上昇。そこから現代に至るまで、憧れのライダースジャケットの定番となり愛され続けています。
上記写真は当ブログ運営者のA shine and geek氏が所有する書籍 Lewis Leathers Vol.1: Wings, Wheels and Rock 'n' Roll 「ルイスレザーファンは絶対に持っておくべき」と豪語していました。
ヴィンテージコレクター、フリーダムカルチャー研究家、アーティストであり、超有名イベント主催者で各界に大きな影響力を持つ「田中凛太郎」氏がルイスレザーの歴史をまとめた一冊です。膨大な写真と資料とともに綴られた作品に圧巻されました。これはニューヨークの公共図書館に所蔵されるべき作品です。
※2021年1月6日追記
田中凛太郎氏に関する記事を掲載しました。この記事を読み終わった後に併せてご覧ください。
オールデン好きは知っておくべき「田中凛太郎」という生き方
ルイスレザーがファッションアイテムとして昇華
元々はフライトジャケットやライダースジャケットとしてのルーツを持つルイスレザーですが、徐々にファッションアイテムとして認知度が上がります。例えば。。
マーロン・ブランド主演「ワイルド・ワン(乱暴者)」
その火付け役は1953年にアメリカで公開されたマーロン・ブランド主演「ワイルド・ワン(乱暴者)」。(アメリカで公開後、イギリスでは反道徳的だということで10年間も公開が禁止されていた映画です!ちなみにマーロン・ブランドといえば、、、皆さんの世代でもゴッドファーザーなら知っているでしょ?)
マーロン・ブランド演じる「ジョニー・ステイブラー」のアウトローでクールなスタイルはイギリスの不良少年達を虜に。若者達はマーロン・ブランドのポスターやプロマイドを参考に、”不良少年スタイル”として研究し、模倣し始めます。
実際にマーロン・ブランドがが映画の中で着ていたウェスト丈でジッパー付きのモーターサイクル・レザージャケットは、当時イギリスには存在していなかったので、ルイスレザーは若者達の要望に応え、アメリカ人デザイナー、バド・ガンズ(Bud Ganz)を起用し、いち早くイギリスで "BRONX" という名のレザージャケットをリリース。もちろん、イギリスの不良少年達がこぞって買い求めました。さらに1960年代になると、イギリスではロックンロールやアウトロー的な物に熱中し、リーゼントに革ジャンを身につけ、バイクレースを繰り返す労働階級の若者のスタイル「ロッカーズ」が流行し、ルイスレザーの需要は高まり続けました。
ミュージシャンらアーティストの着用
1970年代には数多くのミュージシャンがルイスレザーを着用。
特に有名なのは、ルイスレザーを愛用するアーティストの代名詞とも言われる「シド・ヴィシャス」。イギリスの若者達を熱狂させた「セックス・ピストルズ」というバンドのベーシストで、ジャケットに大量のバッジやワッペン、スタッズなどでカスタムしたスタイルは「シドジャン」という言葉が生まれるほど大流行しました。
ポール・マッカートニー、ジョン・レノンなどもルイスレザーを愛用していたミュージシャンとして有名です。
日本での火付け役はコム・デ・ギャルソンの川久保玲(かわくぼれい)?
コム・デ・ギャルソンの創業者でデザイナー、また経営者である川久保玲(かわくぼれい)さんはルイスレザーに共感している一人です。ご自身のブランド「コム・デ・ギャルソン」でもルイスレザーとのコラボレーションアイテムをリリースしています。川久保玲さん自身が着用する姿はメディアでも広まり、ファッショニスタの注目の的に。そこから日本でのルイスレザーブームが起こったとも言われています。
川久保玲さんについてA shine and geekの補足
1942年生まれ。慶應義塾大学卒業後に一度は旭化成に入社するも、その後スタイリストとして独立、1969年にはコム・デ・ギャルソン(Comme des Garçons)を創業した。以来、同ブランドのデザイナー、そしてその他の関連ブランドを束ねるコム・デ・ギャルソングループの代表です。彼女をファッションデザイナーという肩書きで紹介することは難しく、生み出される洋服やブランド、企業、アート、発言は多くの人々に影響を与えます。「既存の枠組みを超えた新しいスタイルを50年以上も生み出し続けています。」とここでは簡単に書いていますが、想像できますか?毎年生まれる新しい概念を毎年超えていくエネルギーを。人間は老いるし、才能は枯渇するし、権威を持てば保身したくなるのが普通です。一般的に、力を持った人間は歩みを止めて、新しいものを否定することの方が楽なのです。でも川久保玲は違います。だからこそ、その哲学がストリートでも愛されているのではないでしょうか。
ちなみに、ルイスレザーと日本の取引が始まったのは2001年。日本向けのルイスレザーがリリースされ、2005年には渋谷区神宮前に「ルイスレザー・ジャパン」が設立されています。いわゆる裏原宿の「原宿通り(私のような玄人はとんちゃん通りと呼びますが)」にあります。
ルイスレザーのタグの魅力
イギリスの老舗ブランドはタグに大きな価値があるもの。「Made in England」とついているだけで英国品質なんだな、と信頼してしまうのは私だけでしょうか。
ルイスレザーのウィングロゴトレードマーク 「AVIAKIT」は「AVIATION」(航空)・「KIT」(設備)を足して生まれた言葉です。タグは年代ごとにデザインが変更されています。そうなるとこだわって集めたくなるのがファン心です。
中でもルイスレザーの原点とも言われている1960~1970年代のタグがついたモデルは、プレミアがつきオークションなどでは高値で取引されることもあるようです。
Cyclone 441T・タイトフィット・ホースハイド(馬の革)
コム・デ・ギャルソンの川久保玲さんも愛用しているように、ルイスレザーは女子のファッションにも活用できます。絶妙な違いで様々なデザインがあるのですが、今回は私が持っている「Cyclone 441」というモデルの「タイトフィット(細身)」「ホースハイド(馬の革)」についてご紹介します。
※「T」はタイトフィットを表す文字です。
1970年初頭に販売された「サイクロン・タイトフィット」は、やや着丈の長い、シンプルなダブルモデルです。
胸にはオーバルウィングパッチ、斜めに配置されたスリージップポケット、ウエストベルト、左袖のジップチケットポケット、バックのシングルアジャストが特徴で、現代に至ってもこのモデルを参考にレザージャケットを製作するメーカーも多いです。
素材のホースハイド(馬の皮)は、牛革や羊革にはない、独特の艶と質感を持ちます。伸びが少なく、その形状を保とうとする力が強いので、最初は固いのですが、着れば着るほど馴染み、風合いが増し、味が出ます。絶妙な光沢感とヴィンテージ感、重厚感のあるホースハイドのジャケットは周りからも一目置かれる存在感です。
オールデンの靴とルイスレザーのコーディネートについて
当ブログ「オールデンのコードバンが大好き by A shine and geek」をご覧の皆様はコードバンの靴に詳しく、ホースハイドの魅力も想像できるのではないでしょうか。コードバンとは部位も触感も異なり、個人的には「コードバンほど扱いが難しくない」と感じています。
またオールデンの靴とルイスレザーのコーディネートを考えた時、ブラックコードバンでも、ダークバーガンディーコードバンでも合わせやすいです。例えばデニムパンツとティーシャツで軽やかにコーデすると、レザージャケットとレザーシューズが共存しても"やりすぎ感"はありません。
最後に
購入後は「こなれ感」が出てくるように、ジャケットを着たまま睡眠を取ったり(ジョークではなく実際にこのような人が存在するのです)、ソファーに投げておくのもロックな感じで良いかも知れませんが、もしハンガーに吊るして保管するのであれば、自重で型崩れしないように厚みのある木製ハンガーを選びたいところです。おすすめは「NAKATA HANGER」など。オールデンコレクターがシューツリーを使う感覚と非常に近いですね。
紳士服ブランドとして設立し、ライダースジャケット、フライトジャケットを手がけ、さらにファッションアイテムとしても爆発的な人気を誇り続けるイギリスの老舗ブランド、ルイスレザー。2015年に1876年創業の「ジェームス・グロース」が復活するまでは、英国最古のライダースブランドでもありました。
「良いもの」はきちんと評価され、100年以上も生き残るイギリスの文化。アイテムのデザインそのものにも魅力はあるけれど、その裏にあるバックストーリーが、さらに価値を高めている気がします。
少し話は変わりますが、イギリス人のお宅にお邪魔し、取材をすると、「この家は~年に建てられたヴィクトリアンスタイルで、当初は馬小屋だったんだけど、その後は雑貨屋で、その後にB&Bになっていたのを買い取ったのよ。ほら、ここに馬を繋いでいたのよ」など、誰もが自分の住んでいる建物が何年に建てられ、どこをどう使われていたのかまで知っていて誇らしげに答えてくれます。
目に見える部分だけではなく、その奥にある歴史にまで重きを置くイギリスの文化。私はそんなBritish Thinking(ブリティッシュ・シンキング)が大好きです。
ではまた!
※2020年12月10日、ルイスレザーの歴史について、田中凛太郎さんがまとめた「Lewis Leathers Vol.1: Wings, Wheels and Rock 'n' Roll」という書籍の写真を追加しました。
※2021年1月6日追記
上記「Lewis Leathers Vol.1: Wings, Wheels and Rock 'n' Roll」を執筆した田中凛太郎氏に関する記事を掲載しました。併せてご覧ください。
オールデン好きは知っておくべき「田中凛太郎」という生き方
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