オールデンを修理するなら～凄腕の靴リペアショップシリーズ～【番外編】《ブリフトアッシュ》青山

今回の『凄腕リペアショップ』シリーズは番外編にて、『こだわりのシューシャイナー』シリーズとなります。靴磨き好きであれば知らぬ人はいない、とまで言われる東京青山の名店をご紹介しましょう。

Mr.シューシャイナー、世界の長谷川裕也さん

※写真は公式インスタグラムから

世界一のシューシャイナー長谷川氏が営む『Brift H（ブリフトアッシュ）』

『Brift H（ブリフトアッシュ）』は、シューシャイナーの長谷川裕也さんが代表を務める、東京南青山の靴磨き店です。

長谷川さんは非常に変わった経歴をお持ちの方で、製鉄所勤めや英会話教材販売の営業を経たのちに、ほぼ無一文の状態から100円ショップの道具を使って路上で１回500円の靴磨きサービスを始めます。

時にはお客さんとして他の職人さんの技を盗んだり、百貨店で行われる靴クリーム会社のデモンストレーションで靴のケアの情報を仕入れたり、古本屋さんで雑誌のバックナンバーから靴磨きのtipsを学んだり、ありとあらゆる方法で勉強することでほぼ独学ながらプロのシューシャイナーとして固定のお客さんがつくまでに地位を確立しました。

革や靴を研究するにあたって、安く仕入れた中古の大量の革靴を、焼いたり、お湯で煮たり、なんと電子レンジでチンしてみたりもしたそうで、とにかく色々やってみるという勉強熱心さが長谷川さんの大きな強みと言えるでしょう。

ちなみに以前にご紹介した『千葉スペシャル』の千葉尊さんのもとにも1日だけ弟子入りして、靴磨きのあれこれを学んだのだそうですよ。

威風堂々としたカウンター。大丈夫、入ってみよう。

※写真は公式インスタグラムから

その後2008年に店舗型靴磨き屋のブリフトアッシュを立ち上げるのですが、その際に靴磨きのスタイルを一新、かっちりとしたスーツ姿でカウンターに立ってサービスを行うというバーテンダーのようなスタイルとなりました。

それに伴いサービスの価格も見直し、"安くて早い"路上の靴磨きから、"しっかりと時間をかけた高級な”シューシャインサービスという、当時では全く新しい価値観を生み出しました。

現在のブリフトアッシュの靴磨きは1足あたり4,900円（ドリンク込み）、更に長谷川さんを指名すると10,000円と、路上時代に比べて非常に高価ではありますが、それでもお客さんが絶えないのはサービスにそれだけの価値があるから、ということでしょう。

Atto Vannucci（アット ヴァンヌッチ）とコラボしたタイも。

※写真は公式インスタグラムから

路上の独学から始まった長谷川さんの靴磨きの技術は、今では日本だけでなく世界でも認められるところとなり、2017年の世界大会では見事優勝、“世界一のシューシャイナー”へとのぼり詰めました。

更に「靴磨きの本」という本を出版するなどその熱意は留まるところを知りません。（靴磨きの基本からトラブル対処まで、靴磨きの全てが載ったバイブルです。写真付き手順で初心者にも優しく、更に靴磨きしながら読めるようページが180度開いたまま置ける製本になっているなど、とにかく至れり尽くせりの一冊ですよ）

2024年には更なる挑戦のためプレイヤーとしての靴磨き職人は引退予定とのことなので、是非それまでに一度は長谷川さんのシューシャインサービスを体験してみてはいかがでしょう。

『Brift H（ブリフトアッシュ）』の基本情報

『Brift H（ブリフトアッシュ）』は南青山に店舗を構えており、最寄駅の「表参道駅」からは徒歩7分程の距離となります。

駅B1出口を出て少し直進し、南青山五丁目の交差点を左折した通り沿いのビルにお店がありますが、この通りは骨董品店が多いことから「骨董通り」と呼ばれています。この辺りは美術館も多いエリアで、ブリフトアッシュの目と鼻の先に「岡本太郎記念館」や、200m程先には初代根津嘉一郎の蒐集品を中心とした「根津美術館」もあります。

更にそのまま青山霊園を抜けて10分程歩けば、「国立新美術館」まで行ける距離なので、お時間が許せばゆっくりと見て回ってみてはいかがでしょうか。

世界一のシューシャイナー長谷川さんの技術が目の前で見られる『Brift H（ブリフトアッシュ）』、お預けや郵送での依頼も受け付けていますが、可能であれば是非カウンターで最高のサービスを体験してみてください。