こんにちは時計担当のGoroです。仕事柄、腕時計のブティック巡りが好きで、いたるところで驚きの発見があります。
今回は「ショパールブティック」で見かけた主力モデル「アルパイン・イーグル」についてご紹介します。
往年のモデルを現代風に解釈して蘇らせたところ大ヒットしたもので、実はオールデンとの共通点があると感じています。

ショパールのアルパイン・イーグル
※写真はショパールの公式サイトから
往年の名モデルを新モデルとして!
ショパールの「アルパイン・イーグル」は1980年から1986年にかけて発売した「サンモリッツ」を現代に再解釈したモデルとして、2019年に発表されたラグジュアリースポーツモデルです。
折しもアルパイン・イーグルが発表された2019年は世界的に腕時計のラグジュアリースポーツモデルの全盛期、時計愛好家たちのハートをまさに「鷲(わし)」掴みに大ヒットしました。ただ、このモデルは決して流行りだけに乗った訳ではありません。
往年の人気モデルの開発者(現社長)の息子がアーカイブから見つけ、社長へ復活を直訴。家族間で4年近い歳月をかけて開発した、魂のこもった力作です。過去の名作をトリビュートしつつ斬新なモデルを作りたかったショパール創業家の意気込みが感じられます。
サプライチェーンよりも優先する製品の仕上げ
最大の特徴はアルパイン・イーグルに使用されている鋼材、「ルーセント・スティールA223」というオーストラリアの鉄鋼会社と共同開発した、独自のステンレス鋼です。この鋼材は従来のステンレス鋼より不純物を少なくして硬度を高め輝きを増しています。
腕時計で最も多く採用されているステンレスは316Lステンレス鋼で、時計素材のステンレス鋼としては最高峰と業界でも位置づけられています。多くのブランドで採用されている実績があり、製造業の品質担当者目線では実績がある材料を使う方が安心です。しかし、外観で他社よりも際立った個性を出す事は、難しくなります。
腕時計の場合、肌に直接触れるものだけにルーセント・スティールA223の導入にあたっては実績が無い事で、採用までのプロセスにはかなりの困難を極めたはずです。また「入手ルートが限られているリスク」もブランドとしては無視できません。万が一、トラブルがあった場合、即座に製造中止へ追い込まれるわけですから。
一般的な会社だと、「リスクが高い」として無難な材料の採用になりますが、家族経営であるショパールは「代えがたい素材」としてルーセント・スティールA223の採用に踏み切ったとGoroは考えています。
これはオールデンが希少であるにもかかわらず、ホーウィン社のコードバンに限定して使用するのと同じです。
両社ともに特定の取引会社だけに重要素材の供給や製造ノウハウを依存していることは、サプライチェーン面からみて決して好ましくはありません。そこはトップの決断と、製品の仕上げを優先していることが大きな要因です。
美しいだけでは無い、心地よい装着感
WEBで初めてこのモデルを見た時は漠然と「デザインが優れている」といった印象だけが残りました。その後品薄になり商品が陳列棚に並ばない状態が続きましたが、ついに2022年5月にGoroは実機を見ることができたのです。
目が奪われるのは印象的なブルー・ダイアルももちろんですが、これまでに見たことの無い白銀色のケース本体が印象的でした。また装着すると通常のステンレス鋼よりも明らかに軽く、手首に馴染むフィット感は忘れられません。
そのフィット感の源はケースの薄さにあります。10㎜を切る脅威の9.7㎜は前回のグランドセイコーより約4㎜も薄くなっています。
前回の記事も併せてご覧ください。
オールデンとグランドセイコー、なぜアメリカで人気がある?はこちらから。
ラグスポと呼ばれる腕時計では、フィット感を追求するため、ブレスレットと本体が一体なのでケースの厚みが薄い事は重要です。適度な重量感を求める愛好家もいますが、心地良さを考えると、こちらにGoroは軍配をあげます。
ファミリー企業ゆえの強味
これもオールデンとショパールの共通点で、ファミリー企業であることが利点です。ともすれば、「こだわりのモノづくり」は10年単位で考えると、非効率に映ります。しかし、創業者一族であれば数世代先を見据えた経営を考える事ができます。
ショパールもオールデンも作る物こそ違えど根本にある企業哲学は近いものを感じます。そのためでしょうか、アルパイン・イーグルとオールデンの相性も良いと感じました。この時計は決してラフではありませんが、カジュアルなデニムでこそ真価を発揮するでしょう。スポーティーな要素も満載のアルパイン・イーグル、ぜひオールデンをピッカピカに磨き上げて、この時計を相棒にしてください。
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