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こんにちは。レザー大好きうりちゃんです。今回は、オールデン好きであれば一度は耳にしたことがあるであろう『ホーウィン社』についてご紹介させて頂きます。
ホーウィン社とは
ホーウィン社(Horween Leather Company)は、アメリカのイリノイ州シカゴにある老舗タンナーです。
創業者のイシドール・ホーウィン氏によって、1905年にホーウィン社の前身となるイシドール・ホーウィン(Isidore Horween and Co)が設立、以来100年以上に渡って世界有数のタンナーとして最高品質のレザーを製造してきました。
イリノイ州シカゴの街並み
ホーウィン社のあるイリノイ州シカゴは観光地としても見どころが多くあります。街を歩いているとそれぞれがオールデンとホーウィンに繋がっているように感じるのです。
輝くThe beanにオールデンを写し込み自画自賛する。その後、クラウンファウンテンでは水を避けるように歩こう。日本でも著名なフランク・ロイド・ライトを始め、多くの天才建築家が思い切った発想でデザインしたビルが多く残ります。これらはシカゴカルチャーを象徴しているように見えます。
ホーウィン社の大手ビジネスパートナーはオールデン社
現在オールデン製品に使用されている革はこのホーウィン社のもので、よく蜜月の仲と表現されるほど結びつきが強い両社です。過去に革の需要低迷によりホーウィン社が経営難に陥っていたところをオールデンがまとめて購入することで窮地を救い、そのため現在でも最高級のコードバンを優先的に取引しているとも言われています。
ホーウィン社では何よりも製品の『質』を重視していて、同社で作業する職人達は皆20年以上の経験を持つ熟練のみなのだとか。我々のオールデン社がパートナーに選ぶからには、そこに大きな理由があるのです。プロダクトの中で特に有名なのはオールデンの代名詞ともいえる『シェルコードバン』や、ホーウィン社の代表的製品でもある『クロムエクセルレザー』の2種類の皮革です。
100年前から続く伝統手法に則り丁寧に手作業で製造、他社製品には類のない唯一無二の美しい革を世界中へ送り出しています。
皮から革へ 革製品に欠かせない『タンナー』という存在
さてまずはここで『タンナー』って何?ということを改めて確認しておきましょう。
タンナー(tanner)とは、『皮の鞣し(=tanning)』を行う業者のことで、直訳すると『なめし革業社』となります。
牛にしても馬にしても、動物の皮はそのまま使用するといずれ腐ったり水分が抜けて硬くなってしまうので、製品にする前に皮のコラーゲンになめし剤と呼ばれる薬品を結合させて、材料としての『革』へと加工する工程が必要になります。
タンナーというのは、このなめしの作業を行なっている業社というわけですね。ちなみにこの工程では薬剤と共に非常に多くの水が必要になるので、タンナーは水源が豊かな地域にあることが多いようです。世界有数のタンナーであるホーウィン社も、そのためにミシガン湖近く、シカゴ川の流域に位置しています。
タンナーによって革の特徴は大きく異なる
牛革や馬革など革製品は世界中で広く愛されているので、そのなめし業社であるタンナーも世界各国に相当数存在します。
有名どころでいえば、高級ブランドのエルメス製品に使用されるフランスの『デュプイ社』や『アノネイ社』、イギリス最大級の老舗タンナー『トーマスウェア社』、ボックスカーフ(仔牛のクロム鞣し)専門のドイツ『ぺリンガー社』などです。またイタリアンレザーという言葉があるほど革製品が有名なイタリアには特に相当数のタンナーがひしめき合っています。もちろん日本にもタンナーは複数存在し、『栃木レザー』や『姫路レザー』などは特に人気が高くファンも多いタンナーです。
各タンナーによって鞣しの工程、特に自社ブレンドとなるなめし剤が異なるため、それがタンナーごとの革の風合いや特徴となって表れます。
タンニン鞣しかクロム鞣しか、染めている顔料は何か、オイルの含み具合は、などなど、革靴はもちろん革製品全般がお好きな方は、販売元ブランドだけでなく使用している革のタンナーにもこだわりたいですね。
世界的にも希少なコードバンタンナー
一方、馬革を扱うタンナーは一般的なタンナーに比べると数が少なく、特に専門でコードバン製造を行っている会社は世界でもほとんどありません。
その理由は、材料である馬の皮はかなり希少価値が高く、牛革に比べて鞣し工程に非常に時間がかかるためと言われています。参入障壁が高く、加えて他の革に比べて需要も大きくない。恐れずに書くと、生産効率が悪いので利益を追求するだけであればコードバンは扱わない方が良いのかも知れません。
オールデン好きの方なら既にご存知かと思いますが、オールデンで使われるコードバンは「シェルコードバン」と名付けられており『馬の臀部の皮(おしりの皮)』が材料となっています。馬の全身の皮の中でも割合にして2割以下という臀部部分、それだけでも相当希少価値がある材料だということが分かりますよね。
更に加えて、馬ならばなんでも良いというわけではなく、コードバンの元となるのはコラーゲン質の高い『農耕馬』のお尻の皮に限られます。
走ることが得意な『サラブレッド』や『ポニー』といった種はお尻が筋肉で引き締まっているので、コードバンの材料となるコラーゲン層が採れません。近年は農業も機械化が進み農耕馬の数が少なくなっているため、コードバンの希少性がどんどん上がっている、ということなんですね。
さて、そんな希少なコードバンですが、世界的に特に品質が高いとされるコードバンタンナーは2社、オールデン御用達の『ホーウィン社』と、日本の『新喜皮革』だと言われています。新喜皮革は兵庫県姫路市にあり、世界でも非常に珍しい馬革専門のタンナーです。日本の製造技術が世界で評価されているというのはなんとも嬉しいお話ですね。
ホーウィン社のコードバンは艶のあるオイル仕上げと迫力あるラフさが魅力
それでは本題である『ホーウィン社のコードバン』について、その特徴を新喜皮革と比較しながらみてみましょう。
「オイル仕上げ」という製法のコードバン
オールデンに使用されているホーウィン社のコードバンは、艶やかな光沢と、手に持った時にしっとりと馴染む柔らかさが特徴です。これは鞣し工程において、革の内部に油脂成分を含ませる『オイル仕上げ』という製法によりうみ出されるからです。このように仕上げられたコードバンを『オイルドコードバン』と呼び、この製法を最初に行ったのがホーウィン社と言われています。現在ではホーウィン社の代名詞とも言えるコードバン、その製法です。
日本のタンナーである新喜皮革でも同じくオイルドコードバンを製造していますが、両社の使うオイルの種類や使用量が異なるので革の特徴も異なり、例えば購入してすぐの光沢感や柔らかさなどはホーウィン社の方が高い傾向にあります。またホーウィン社のコードバンはマットさが低く、新品時から透明感を感じる仕上がりとなっています。
コードバンの経年変化
長年使い込んで磨いていくことによる『エイジング』もコードバンの大きな魅力の1つです。
ホーウィン社のコードバンはオイル仕上げなので、購入時から持っている革の光沢やツヤ感が、使っていくにつれてどんどん増していき、味のある美しい革へと成長していきます。
新喜皮革のコードバンも経年でツヤが増していきますが、こちらは最初が比較的マットな仕上がりなのでホーウィン社のものとはまた違った経過を辿るでしょう。
オールデンを代表するブラックやダークバーガンディ(#8)など濃いめの色の場合、エイジングはツヤ感を身近に楽しめます。色合いの変化なども楽しみたい場合はより薄い色の#4やレアカラーを選んでみると良いかもしれません。その前にレアカラーコードバンを入手できる運も必要になりますが。キリッ!
ホーウィン社と新喜皮革のコードバンの大きな違い
またホーウィン社のコードバンが新喜皮革と比較される場合によく取り上げられるのが『均一感』です。
アメリカと日本というお国柄の違いなのか、新喜皮革のコードバンは丁寧な磨きにより均一な仕上がりであるのに対し、ホーウィン社のコードバンには比較的個体差が大きいという特徴があります。
同じカラーであっても、製造されたロットによって染め付けの違いや元々の皮の状態によって色合いにバラつきがあったり、一足の靴の中でムラ感が見られたり、とにかく『均一でない』という点がホーウィン社コードバンの特徴であり、また魅力です。
ものによっては毛穴や血管の跡が見られたり、最初から陥没したような小さな傷があったり、『天然素材ならではの、ラフな美しさと迫力ある存在感』がホーウィン社のコードバンが唯一無二である理由と言えるのではないでしょうか。
まとめ
今回はオールデンにコードバンを供給しているタンナー『ホーウィン社』についてご紹介しました。
ロットによって風合いや表情が異なり、更に経年で変化を見せてくれる、他にない魅力を持つ「ホーウィン社のコードバン」。加工の手法やタンナーのこだわりによって全く異なる個性が現れるなど非常に奥深い世界ですね。オールデンの魅力を支える大きな柱の1つ『ホーウィン社』、是非これを機により興味を深めて頂けると幸いです。
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